ロシア事業、縮小の一途=政府、新規投資を禁止―「無保険リスク」も浮上

 ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、政府は12日、追加制裁を発表した。ロシア法人に対し出資比率10%以上となる新規投資が禁止され、合弁会社の設立などができなくなる。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「ロシアへの投融資はしぼんでいかざるを得ない」と指摘。「無保険リスク」すら浮上する中、もはやロシア事業に拡大の選択肢はなく、縮小の一途をたどりそうだ。  ロシアに対する追加制裁は、先進7カ国(G7)で足並みをそろえた対応だ。外為法に基づき、ロシアの法人への新規投資や、設備投資などを想定した1年を超える貸し付けを国による許可制とし、事実上禁止する。  また、資産凍結の対象としてロシア最大手のズベルバンクなど2行を追加。ズベルバンクは日本企業の多くが現地の従業員への給与の支払いなどで利用している。日本のメガバンクは米国の制裁措置を受けてドル建ての送金などを既に停止しているが、「円建ての送金も事実上できなくなるだろう」(関係者)とみている。  一方、ロシア側も一連の制裁への対抗措置として3月上旬に日本を「非友好国」に指定。これに伴って日本の損害保険会社は、日本企業がロシアの保険会社と契約した損害賠償保険などの再保険を引き受けられなくなった。このため日本企業は新規の保険契約や契約更新で、日本の損保による再保険が受けられず、以前より不利な条件でロシアの保険会社との契約を迫られる可能性がある。さらに、折り合えなければ「無保険」になるというリスクにもさらされる。  ロシア事業をめぐっては、部品供給網の混乱や不透明な金融・経済情勢を受けて、日本企業から「現在、活動を停止ないしは縮小している」(住友商事)「ロシア向けの出荷やロシアでの生産は停止している」(コマツ)など生産停止や事業縮小の表明が相次いでいる。こうした企業からは「この上、保険が停止されたらビジネスの再開などできるわけがない」(自動車大手)との声が漏れる。 

[時事通信社]