NHK経営委、番組手法を批判=かんぽ不正報道めぐり―議事録開示

 NHK経営委員会は9日までに、かんぽ生命保険の不正販売報道をめぐり2018年10月に当時の上田良一NHK会長を厳重注意した際の議事録を全面開示した。議事録からは、番組の制作手法などについて委員が強く批判する様子が明らかになった。  NHKは18年4月の「クローズアップ現代+(プラス)」で、郵便局員による不適切な保険販売の実態を報じた。その後、続編に向けて情報提供を呼び掛ける動画も公開した。これに日本郵政グループが上田会長宛の抗議文を送ったところ、番組担当者が「会長は番組制作に関与しない」と説明。経営委は、誤った説明が行われたとしてガバナンス(企業統治)体制の強化を求め、上田氏を厳重注意した。  開示された議事録によると、当時の森下俊三委員長代行(現委員長)らが番組を問題視。「取材を含めて極めて稚拙」「一方的になり過ぎた気がして」などと批判の声が上がった。  放送法は経営委が番組に干渉することを禁じており、番組批判の議論に懸念を示す委員もいた。厳重注意は番組に関してではなく、企業統治の徹底を求める内容だったが、上田氏は番組介入と受け止められるのを警戒したのか、「これが外に出ると相当の問題になり得る」と述べるなど、納得していない様子もうかがえる。  森下氏は今月6日、報道陣の取材に対し、当時のやりとりについて「(番組介入は)一切ない」と述べた。現会長の前田晃伸氏も「介入された意識はない」との見解を示している。 

[時事通信社]