運河庁、1000億円賠償請求=保険事業者は疑義―スエズ船座礁

 【カイロ時事】エジプトのスエズ運河で3月に起きた正栄汽船(愛媛県今治市)所有の大型コンテナ船「エバーギブン」の座礁事故で、コンテナ船の船主責任保険を引き受けている事業者「英国クラブ」は13日付の声明で、スエズ運河庁が損害額として9億1600万ドル(約998億円)を求めていると明らかにした上で「巨額の賠償請求を正当化できる詳細が示されておらず、大部分は根拠が乏しい」と疑義を呈した。  同事業者によれば、運河庁は今月7日、コンテナ船の離礁作業などにかかった費用として3億ドル(約327億円)、「(運河の)評判を損ねた」とする風評被害で3億ドルを要求。船主や保険事業者側が12日に「慎重に立案した寛大な提案」を運河庁側に示したが、翌13日に船舶差し押さえの決定が下されたという。  同事業者は声明で、賠償額が支払われるまで船の航行が認められず、乗員も降船できないとする内容に「失望している」と表明した。正栄汽船も取材に対し「運河庁と金額の妥当性をめぐる協議の折り合いがつかず、現在も協議中だ」とコメントしている。  エバーギブンは現在、運河の中間にある湖に留め置かれている。同船の管理会社ベルンハルト・シュルテ・シップマネージメントは14日、米検査機関による調査の結果、「船は航行を続けられることが確認された」と発表し、事態の早期解決を訴えた。 

[時事通信社]