DX人材、変革の起爆剤に=自社で育成、競争力強化―損保各社

 大手損害保険各社が、デジタル人材の育成を強化している。新型コロナウイルス収束を見据えた多様な働き方を支える一方、事故・災害リスクの予測精度を高める需要に対応。デジタル技術で既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)にたけた社員を成長の起爆剤と位置付け、業務効率化や新たなサービス・商品の開発スピードを引き上げる。  SOMPOホールディングスは昨年10月から、企画部門の社員約700人を対象に、人工知能(AI)や高速大容量の第5世代通信規格「5G」などを学べる計80時間の研修を実施している。工場設備の故障を事前に察知するなど新サービスへの需要は高まっており、「保険業務を理解した社員がDXで武装すれば、競争力のあるアイデアを具体化できる」(同社)との期待が大きい。  三井住友海上火災保険は、約70人の社員を業務効率化の先導役「デジタルアンバサダー」に任命。全国19本部に配置し、このうち、東京では未契約企業を効率的に探し出すシステムが提案され、年6000時間分の業務を削減できたという。あいおいニッセイ同和損害保険では、データ解析に詳しい人材が各部署を指導し、顧客アンケート集計の省力化を実現した。  各社は、デジタル人材の育成を通じて社員の意識改革を促す狙いだ。全社員にオンライン研修を行う東京海上ホールディングスの担当者は「目の前の業務をどう変革できるか。一人ひとりの理解、思考の浸透で企業文化が変わる」と訴える。  DXは経営陣のけん引力が成否を分けるとの指摘もある。大和総研の内野逸勢主席研究員は「経営戦略に基づく必要な人材を明確化した上で、具体的なスキルを身に付けさせるべきだ」と話している。 

[時事通信社]