3年前に不正疑い=元社員の詐取で報告書―第一生命

 第一生命保険の元女性社員が顧客から19億円超を詐取した問題で、3年前に社外から情報が寄せられたのに、不正が確認できなかったとして調査を打ち切っていたことが9日、分かった。結果的に不正を見逃し、被害拡大を招いた。  同社は同日、こうした経緯などを記載した報告書を公表。関係者によると、金融庁の報告徴求命令に基づき、同庁にも9日までに報告書を提出した。  同社によると、元社員は2002~20年、複数の顧客に「成績優秀者のみに認められた高い利子が付く自分専用の特別枠がある」などと架空の金融取引を持ち掛け、24人から計19億5100万円を不正に取得した。同社は今年6月以降、顧客らへの調査を実施した。  ところが、17年8月に社外から「特別枠」に関する問い合わせがあり、調査を実施していた。その際、元社員や顧客が疑惑を否定したため調査を終了。その後の業務報告などからも不正を見抜くことはできなかった。 

[時事通信社]