金融庁、行政処分含め検討=全銀協も本人確認強化要請―ドコモ口座

 NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を通じて全国の銀行から預金が不正に引き出された問題で、金融庁は行政処分を含め厳正に対処する方針だ。一方、全国銀行協会も会員行に対し、本人確認などセキュリティー対策の強化を要請。決済サービス会社と預金を管理する銀行の双方の甘さが招いた今回の事態に対し、再発防止の徹底を促す。  ドコモによると、これまでの被害は15日午前0時時点で143件、総額2676万円に拡大。全国の地方銀行など11行で預金が不正に引き出された。既に提携先全35行の預金口座の新規登録を停止。4桁の暗証番号など比較的簡便な手法で口座を連携させている銀行からのチャージもできないようにした。  金融庁は9日、ドコモに対し報告命令を出した。17日を期限に不正が発生した原因や再発防止策の回答を受け、業務改善命令を出すことも含め対応を検討する。本人確認の強化など、地銀とドコモのサービスをつなぐシステム全体の安全性を点検するとともに、被害者への補償体制も確認する見通しだ。  セキュリティー強化が求められているのは、ドコモ口座だけではない。大手銀行や地銀などが参加するスマートフォン決済サービス「Bank Pay(バンクペイ)」も、利用登録時の本人確認を強化するため新規登録を一時停止。口座連携の認証が弱いと判断した銀行については、登録済み口座での決済サービスの利用も停止した。  全銀協はこれまでに、会員行に対しセキュリティー対策を徹底するよう要請。決済サービス事業者側による利用者の本人確認に問題がないか確認することも求めた。電子決済の専門家は「決済事業者と銀行が協力し、(決済サービスの)口座開設と銀行口座からの振り替えの2段階で、リスクに応じた堅固な仕組みを構築すべきだ」と指摘した。 

[時事通信社]