金融サービス、認知症に備え=介護の負担軽減狙う

 金融各社が認知症に備えた商品を相次ぎ発売している。意思表示が難しい顧客の資産を管理する信託商品や、事故を起こした際の賠償金を賄う保険などさまざま。介護する家族の金銭的負担を和らげる狙いがある。  第一生命経済研究所によると、認知症患者が保有する金融資産は、2030年に家計の金融資産全体の10%を超える見込み。金融商品の多くは発症すると契約できず、資金も引き出せない。金融各社は「認知症はいつ発症するか分からないので、早めに備えてほしい」(信託銀行)と呼び掛けている。  銀行関係者は「通帳を返してもらっていないとの問い合わせが(同じ顧客から)毎日あったり、突然多額の預金の引き出しを求められたりすることが多くある」と実態を話す。  こうした中、信託銀行では本人の判断で解約できない商品の契約が伸びている。高齢者を狙った詐欺被害を防ぐのが狙いで、お金が必要な場合は親族や弁護士ら代理人が引き出せる。  三菱UFJ信託銀行は代理人の使い込みを防ぐため、引き出す金額のレシートを家族が確認できる専用アプリを開発。みずほ信託銀行の商品では毎月定額を生活費として受け取ったり、本人の死亡後すぐに、指定した受取人が残余資産を受け取ったりできる。  保険では、太陽生命保険が認知症の検査などに使える給付金を定期的に支払う保険を販売。家族を悩ませる高齢者の徘徊(はいかい)に対応し、東京海上日動火災保険は捜索費や事故の際の賠償金を補償する損害保険を用意している。 

[時事通信社]